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医者は、診察して、しばらく様子を見てみましょうということもよくあります。しかし病名がつかないと不安であるという患者さんはよくいます。なぜ、医者は明言してくれないのだろうと不安に思っている患者さんが多いのです。

しかし、医者からしてみると、なぜ、病名がつかないと不安なのだろうか、と患者さんの気持ちがあまりわからないのです。

調子が悪くて病院にかかったときに、病名がつかないことはよくあります。今まで経験したことのないような痛みや、症状が続いているが、検査の結果は異常なしと出たため、では、いったいこの不調の原因はなんだろう、見つかっていない大きな病気があるのではないだろうかと患者さんは不安に思います。自分はどこが悪いんですかと医者に尋ねたくなるでしょう。

そして、それに対して医者は、「ひとまず、様子をみましょう」と答えることが多いと言います。

実は医者からすると、はっきりと病名を断言できることは、それほど多くなく、病名を言いづらいことのほうが多いのです。患者さんは病名をはっきり言ってほしいけれど、医者は病名を言いづらい、というように患者さんと医者の間に大きな認識のズレが生じています。

では、なぜ、医者は病名を言いづらいのでしょうか。病名を断言できない理由として、診断というものはなかなか確定しづらいという点が一つです。病名をズバリこの病気ですというように断定するのは容易ではないのです。おそらくこれだろうとは言えるがはっきりと断定してしまうのは難しいのです。

これは、がんでも風邪でも同じことです。

また、診断基準というものもあり、10項目のうち6つ以上を満たしたら、初めて、病気である診断しても良いなどという基準があります。しかし、この基準も日本とアメリカで異なったりと、診断を断定することがいかに難しいことなのかが、このことからもよくわかります。

二つ目の理由は、初期の段階で患者さんにはっきりと病名を伝えて、後からその病気ではなかったとわかったら医師としての信頼を失ってしまうからです。当初見込んでいた病名と後からわかる病名が異なることは実は医者にとってはよくあることなのです。病気は初期段階よりも時間が経つにつれ症状が進行を確認できたり、その病気に対する情報量が多くなっていきます。

それから診断した方が圧倒的に正確な診断が出せるのです。医者にとって大切なのは病名を当てることではなく、患者さんのつらい状況が少しでもよくなるように努めることを目的として診療をします。医者の使用する「様子を見ましょう」という言葉は何もせず、放っておきましょうという意味ではなく、時間が経てばわかってくることも多くなってくるので、その時々で判断し、治療していきましょうという意味なのです。