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今回は実例をベースに薬局薬剤師という立場でどのように処方提案を行っていくのかというのを見ていこうと思います。

まず、薬局にやってくる患者さんたちも全くの無知ではありません。患者さんも薬の使い方について疑問を持つという事は勿論あり得ます。患者さんからの質問こそ、最適な治療にともに進んでいける大きな道しるべだと思います。

薬の服用方法の最良化・最適化は薬剤師が先だって実践していくべき事だと思うのですが、そうは言っても実際に服用するのは患者さんです。「患者が薬に対してどう思っているのか」「その考えに影響しうるものは何か」こういった細やかな情報に対して目を光らせておくことが、薬の正しい使い方の最適化・適正化・妥当化につながっていくのではないかと思うのです。

実例として、30代の男性Aさんをご紹介しましょう。新年度に勤務先に異動があった方になります。特に大きな疾病歴も基礎疾病もない方で、アレルギーや副作用歴も現在併用している薬もありません。連休前から体調不良を感じて来院した結果、「風邪ですが、連休中の肺炎などの悪化の可能性も考えて薬を出しておきましょう」という処方が医師からなされました。

続いてAさんの症状ですが、体温は37℃の微熱、軽度の咳嗽・鼻汁・咽頭通・頭痛を訴えていますが関節痛はないとの事。食事は普段の半分程度であれば摂取可能・のどの痛みはあるも嚥下は問題ないという状況です。PL配合顆粒・メジコン錠・ムコダイン錠500㎎・トラネキサム酸錠250㎎・クラリス錠200㎎を処方されました。

さて当の患者さんの気持ち・要望です。「早く治したい思いもあるが、処方されている抗菌薬はテレビで風邪に対して無意味だと言っていたので飲みたくない!」とAさんは言います。処方された薬の内どれが抗菌薬なのかはわからないようですが、抗菌薬の処方・服薬に対して懐疑的という事ですね。

この場合、薬剤師はどのようにしたらよいのでしょうか。抗菌薬の処方削除を依頼するべき?そのまま患者さんに服薬を説得する?他に選択肢は?

この実例では、処方病院へ問い合わせ病院側も抗菌薬の使用を難渋していた事から、Aさんの希望通りクラリス錠を削除しての治療という事になりました。