医療機関から自宅から遠い場合には医療に対してアクセス面でのバリアがあると言えます。従って、医療機関は全国様々なところに万便なく存在する必要があり、必要な医療を提供しなければならないという事になるかと思います。
しかしながら、この点の実現はなかなかそうたやすくはないでしょう。実際には医療機関も医師も地理的に偏在してしまっています。日本では、オーストラリアのように病院やご近所さんが100キロメートルも離れているといったケースはごく稀です。それでも、医療を受けにくい過疎地や離島のへき地医療問題は深刻であると言えるでしょう。
このアクセス面における問題点を解決する為に、国も地方自治体も様々な努力を行ってきていますが、未だすべてを解決したとはお世辞にも言えません。医師の地理的偏在という問題は、医療のバリアを論じる上で日本最大の問題であるとっても過言ではないのではないでしょうか。仮に医療が全国色んな所に万便なく設置され医療へのかかりやすさが改善されたとしても、もう一つのバリアが存在します。
医療の対象となる疾病・ケガの種類が多種多様である為に、医師一人ひとりがその全てに対応できるだけの知識及び技術を持ち合わせているわけでないのです。したがって、病気やケガの際にどの医療機関でもよい治療が出来るとは限らないのです。例えば、近くに病院があってもそこに産婦人科医がいるとは限らないでしょうし、心筋梗塞・脳卒中といった緊急性を要する疾病を患ったとしても、すぐ近くの病院には高度な診療機器・治療機器が容易されていない場合も考えられます。
こういった診療科目・専門分野・領域ごとの偏在問題というのも、クオリティというもう一つの観点で医療におけるバリアだと言えるでしょう。