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降圧薬「ARB」と「ACE阻害薬」の違い①

「ARB」と「ACE阻害薬」はともに高血圧治療の第一選択薬として広く使われている薬ですが、血圧を下げるメカニズムに違いがあります。
「ACE阻害薬」の方が古くから使われており、使用実績もあるため適応症も広いのですが、「空咳」の副作用があるため薬を飲み続けられない患者さんもいます。
「ARB」はこの「空咳」の副作用がなく非常に服用し続けやすい薬ではありますが、新しい薬剤のため高価であるという欠点があります。
高血圧の治療効果には大きな差がないため、薬剤師は持病や副作用、値段などの観点から薬を選択するのが一般的に行われています。
血圧が下がりすぎると、脳に血液が届かずに死んでしまいます。
「レニン・アンジオテンシン系」と呼ばれるシステムは、体内の血圧を維持するための「昇圧」システムです。「ARB」と「ACE阻害薬」はこの「レニン・アンジオテンシン系」の異なる場所に作用します。
「ARB」は、「アンジオテンシンⅡ」が「アンジオテンシンⅡ受容体(AT1受容体)」に結合するのを阻害します。
「ACE阻害薬」は、「アンジオテンシンⅠ」を「アンジオテンシンⅡ」に変換する酵素である「アンジオテンシン変換酵素(ACE)」を阻害します。
どちらの薬も「レニン・アンジオテンシン系」のなかで血管の収縮や血圧の上昇に関わる「アンジオテンシンⅡ」の作用を抑制することで、血圧降下作用を発揮します。
高血圧治療の目的は、単に血圧を低下させることではなく、心筋梗塞や脳卒中などの高血圧が原因で起こる血管のトラブルを予防することです。
このような血管トラブルの予防効果に対して、「ARB」と「ACE阻害薬」の間に大きな違いはなく、そのため、どちらも高血圧治療の第一選択薬に選ばれています。

薬剤師として転職を考えている人は、こうした知識が役に立つ日がくるかもしれません。覚えておくとよいでしょう。