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薬局は医療機関の個別事情は分からない

薬局は医療機関の個別事情は分からない2

病院や診療所で発行された処方箋は全国どこの薬局でも有効です。その為、当然の事ながらどの薬局を選ぶかという点は患者さんの判断にゆだねらます。つまり、薬局の立地している都道府県外の医療機関が発行した処方箋を患者さんが持参し、薬局が応需するというケースも少なからずあるでしょう。

ここで一つ実例を紹介しましょう。来局した患者さんから処方箋を受け取ったが、気になる点があり疑義照会を行いました。処方箋に記載の電話番号に問い合わせてみたところ、「当院では電話による疑義照会は受け付けておりません。FAXでの問い合わせを近隣の薬局には伝えています。あなたはご存知ないんですか?」と。「知らない。電話を受け付けない理由は何でしょうか?」と尋ねると、「規定でそうなっているから。」との返答をもらいました。行いたかった疑義照会は「処方中の酸化マグネシウム原末をマグミット錠330㎎6錠を1日3回毎食後の服用」に変更するという処方内容についてでした。「すでに薬剤があまり気味になっているのに、ほぼ同量の別錠剤に変更する理由はなぜでしょうか?」と問い合わせてみました。これに対して得られた回答は「酸化マグネシウム錠500㎎は当院の採用医薬品でないからです」とのことでした。

さて、ここで問題なのは、①病院側が自施設の内規を薬局側が把握して当たり前という前提で考えてしまっていた事②処方箋を応需した薬局が、発行元の病院のやり方に従うのが普通とみなされている③処方内容の変更に、病院の採用薬の範囲内という制限が生じた、この3点では無いでしょうか。

①については明らかに理不尽と言いますか不合理と言いますか。このように、薬局側からすれば、持ち込まれる処方箋がどこから発行されたのかは事前に予測し得ないのです。つまり、処方箋の発行元である医療機関が抱えている内部事情やローカルルールを事前に知り得ておくというのは理論上不可能だと言えます。勿論近隣の医療機関からの処方箋であれば、薬局・薬剤師のネットワーク・情報網を頼りにある程度の情報を手にする事は可能かもしれません。全国に許多と存在する医療機関の内部事情・ルールを逐一把握しろというのは無理難題ですよね。とはいえ、この点は薬局に勤める薬剤師としてはある程度の覚悟ないし理解はしておくべきかと思います。